乳酸アシドーシスは必ず知っておくべき副作用
この記事では、メトホルミンについて説明します。
まず、簡単に理解できるように下手ですが漫画をつけました。
ご覧ください。
漫画~メトグルコについて~
以上が漫画になります。
もう少し詳しく知りたい方は、関連記事の下に漫画では説明しきれなかったことを書きました。
ご覧ください。
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メトホルミンとは?
メトホルミンはビグアナイド薬というカテゴリーに入る糖尿病の薬です。
ビクアナイド薬は、スルホニル尿素薬と同じで歴史の長い薬です。
ガレガゾウという植物の抽出成分に血糖降下作用があることがわかり、この成分由来で生成されたのがビグアナイド薬です。
歴史
メトホルミンは、当初、商品名メルビンとして販売されていました。
しかし、海外でビグアナイド薬の一つであるフェンホルミンで乳酸アシドーシスという命にかかわる重大な副作用が起きることが判明しました。
これを受けて、フェンホルミンは販売中止になました。
そして、この影響で同じビグアナイド薬であるメルビンは、販売中止は免れたものの使用に大きく制限が課せられてしまい、それ以降あまり使用がありませんでした。
しかし、近年メトホルミンの臨床試験が行われ、有効性、安全性が確かめられ再評価がされるようになりました。
その結果、メトホルミンと同一成分で、高用量の使用が可能な商品名メトグルコが発売され現在では、多くの処方がされています。(メルビンは現在では販売中止になっています)
ビグアナイド薬の一覧
- ブホルミン(商品名:ジベトス)
- メトホルミン(商品名:メトグルコ、グリコラン)
ビグアナイド薬の中で現在使用されているのは、圧倒的にメトグルコです。
ある程度使用はあるのでしょうが、他の薬の処方は今まで見たことありません。
メトグルコであれば高用量(2250mg)の使用が認められています。
同じ成分であるにもかかわらず、グリコランの最大用量は750mgです。
メトグルコの作用メカニズム
糖尿病の原因は、二つ考えられます。
一つは、膵臓から分泌されるインスリンの量が足りないことです。
インスリンは血糖値を下げる作用があるため、インスリンの量が足りないと血糖値が上がり糖尿病になってしまいます。
二つ目は、インスリンは正常に分泌されますが、インスリンの効き目が悪くなることです。
これをインスリン抵抗性と呼びます。
インスリンの働きが悪くなると、血糖値が上がり糖尿病になってしまいます。
メトグルコの主な作用は二つ目の原因であるインスリンの効き目(インスリン抵抗性)を改善してくれるということです。
下記の通り、具体的には二つの作用があります。
肝臓での糖新生抑制
メトグルコは、肝臓で糖が作られるのを抑制します。
肝臓で糖が作られるのを糖新生と呼びます。
膵臓から分泌されるインスリンが、糖新生を抑制しているのですが、糖尿病になるとインスリンの糖新生を抑制する作用が悪くなります。
メトグルコは、このインスリンの作用を改善します。
末梢(筋肉・脂肪細胞)での糖利用促進
インスリンは、筋肉(骨格筋)や脂肪細胞に作用してブドウ糖を中に取り込ませることで血糖値を下げます。
糖尿病になると、インスリンの効きが悪くなり、ブドウ糖があまり取り込まれなくなり血糖値があがります。
メトグルコは、インスリンが筋肉や脂肪細胞にブドウ糖を取り込む作用を改善してくれます。
以上、この二つがメトグルコの主な作用です。
ただメトグルコの作用はこれだけではなく、他の作用があることが分かっています。
小腸からの糖吸収抑制
インスリンの効果を改善するだけでなく、メトグルコはブドウ糖が小腸で吸収されるのを抑制します。
これにより血糖値が下がります。
メトグルコの副作用
乳酸アシドーシス
重大な副作用の一つに乳酸アシドーシスがあります。
これは、体内の乳酸が増加することで体が酸性に傾く状態をいいます。
そのまま放置していると最悪死亡することがあります。
しかし、乳酸アシドーシスが問題になったのはすでに販売が中止になっているフェンホルミンです。
メトグルコでは乳酸アシドーシスが起きるのはごくまれなので、そこまで過剰に心配する必要はないでしょう。
乳酸アシドーシスは脱水で起きやすいので、毎日しっかり水分補給しましょう。
乳酸アシドーシスについては別記事で説明してあるので参考にしてください。

胃腸障害
比較的よくある副作用は、胃腸障害です。
下痢、吐き気、食欲不振、腹痛などが起きることがあります。
重大なものではないのですが、乳酸アシドーシスの初期症状が胃腸障害の場合があるため、注意が必要です。
低血糖
スルホニル尿素ほど頻度は高くありませんが、メトグルコも血糖値を下げる作用があるため、低血糖が起きることがあります。
手の震え、強い空腹感、冷汗などが出てきたら要注意です。
低血糖については別記事で説明してあるので参考にしてください。

肝機能障害
肝機能障害があらわれることがあります。
肝臓が悪くなると、血液検査だと、AST(GOT)、ALT(GPT)、γGTPが上昇します。
また、ビリルビン値があがると肌や白目が黄色っぽくなる黄疸が見られることがあります。
症状がでたら服用を中止し医師または薬剤師に相談しましょう。
また定期的に肝機能を測定するとよいでしょう。
横紋筋融解症
横紋筋という骨格筋の一部が融解したり壊死する副作用がでることがあります。
症状としては、なにも運動していないのに筋肉痛が起きたり、脱力感がでたり尿の色が赤くなることがあります。
症状がでたらすぐに服用を中止し、医師または薬剤師に相談しましょう。
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メトグルコを飲むべき人・飲むべきではない人
糖尿病の薬は副作用に体重増加があるものが多いです。
しかし、メトグルコには体重増加の副作用は見られません。
そのため、肥満の糖尿病患者におすすめです。
肥満が多いアメリカではよく処方される薬です。
一方で、メトグルコの副作用に乳酸アシドーシスがあるため、腎機能、肝機能が悪く脱水が起きやすい75歳以上の高齢者は、飲むべきではありません。
実際、メトグルコの添付文書には高齢者は慎重投与になっています。
薬を減量するか他の薬に変えたほうがよいでしょう。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
参考文献:糖尿病診療ガイドライン2016