風邪に抗生物質は効きません【薬剤師による解説】

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こんにちは、福井県福井市でホームページ制作をしている@じょうです。

このページでは、僕が調剤薬局で薬剤師をやっていたときに調べたことをまとめております。

どうぞ皆様の学習にお役立てください。

風邪の原因の9割はウィルス
細菌に効果がある抗生物質を服用しても効かない

この記事では、風邪をひいたときに抗生物質が処方される理由とその問題点についてまとめました。

まず、簡単に理解できるように下手ですが漫画をつけました。
ご覧ください。

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漫画~風邪に抗生物質~

kouseibussitu-kaze1kouseibussitu-kaze2kouseibussitu-kaze3kouseibussitu-kaze4以上が漫画になります。

もう少し詳しく知りたい方 は、関連記事の下に漫画では説明しきれなかったことを書きました。
ご覧ください。

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そもそも風邪とは


そもそも風邪とは何なのでしょうか?

風邪と言うのは別名、急性上気道炎といいます。
急に起きた上気道の炎症ということです。

上気道とは、鼻から咽頭(口・鼻の奥)、喉頭(のど)までの場所を指します。
この場所に炎症が起きているということです。

では、なぜ炎症が起きるのでしょうか?

それは、ウイルスや細菌に感染するためです。
体内に侵入したウイルスや細菌によって炎症が起きるのです。

まとめると、風邪というのは、
『ウイルスや細菌によって鼻や喉に炎症が起きている状態』
をさします。

風邪をひいたとき、この原因はウイルスなのか細菌なのかどちらなのでしょうか。

症状だけでの見分けは難しいです。
これは、今のところ検査をしないと分かりません。

しかし、検査をするには時間とお金がかかってしまいます。
そのため、ちょっと風邪をひかれた患者にわざわざ検査をすることはありません。

しかし、風邪の90%ほどはウイルスが原因と言われています。
ではなぜ、90%がウイルスによって引き起こされた風邪なのに、抗生物質が処方されるのでしょうか。

抗生物質は細菌をやっつけるための薬です。
不要ですよね。

風邪に抗生物質が処方される理由

風邪に抗生物質が処方される理由風邪に抗生物質が処方される理由を考えたところ、6つの理由が見つかりました。

  1. 二次的な病気の予防
  2. 患者からのお願い
  3. 抗生物質がないと物足りない
  4. 訴訟を回避する
  5. 10%は細菌が原因
  6. 副次的な効果を期待している

順番に見ていきます。

理由1.二次的な病気の予防

1つ目の理由として、僕の薬局では、二次的な病気に進展する前に、予防として抗生物質が処方されています。

風邪というのはほとんどがウイルスが原因です。しかし、ひどくなると気管支炎や肺炎や中耳炎などに進展することがあります。これらの症状に対しては抗生物質は有効です。

本来であれば、気管支炎や肺炎が起きた時に抗生物質を処方するのが正しい使い方です。

ところが、僕の薬局では症状が起きてしまう前に抗生物質が処方されてしまいます。

予防のために処方するわけです。

事前に抗生物質を処方するのには2つ訳があります。

一つは、患者さんの負担を軽減するためです。ひどくなってからサラリーマンや子供を持つ母親がまた病院に来るのは大変なのです。

そしてもう一つは、再び診察をする手間を省き、病院の混雑を避けるためです。

患者にとっても、病院にとっても、できれば風邪は一回の受診でおわらせたいというわけです。

本来、予防であれば保険はつかえないはずですが、現在の制度ではまったく問題なく抗生物質が処方されています。

理由2.患者からのお願い

2つ目の理由としては、患者さんが抗生物質の処方をお願いするケースがあります。

抗生物質を服用して体調がよくなったという経験がある患者さんは、風邪をひいたとき『抗生物質を処方してください』とお願いするケースがあります。

これは、薬の知識が不足している患者さんに多いです。抗生物質を万能薬と勘違いしています。そして仕方ありませんが、細菌とウイルスの違いがわかっていません。

僕の薬局前の病院では、患者さんが抗生物質がほしいと言えばほぼ例外なく、抗生物質が処方されてしまいます。先生もとても優しい先生で話しやすい人なので、患者さんも遠慮なく『抗生物質ください』と言ってしまいます。

先生が患者さんに『抗生物質を出しますか?』と聞く場合もあります。
抗生物質の商品名を指定して処方をお願いする患者さんもいます。
細菌が原因かもわからないのに、ネットで調べて『抗生物質をください』とお願いする患者さんもいました。

あまりにも簡単に抗生物質を処方するので患者さんの間で、あの先生は頼めばなんでも処方してくれると噂になっています・・・

風邪には抗生物質と思い込んでいる患者さんが非常に多いです。

理由3.抗生物質がないと物足りない

3つ目の理由としては1つ、2つの薬の処方では物足りないことです。

最近は、病院がコンビニ化してしまっています。特に、子供は医療費が無料なので、ちょっと熱がでたちょっと咳がでたで受診する親は多いです。

薬を処方せずに診察が終わった場合、親はどう思うでしょうか。

『せっかく忙しいなか受診したのに・・・』

と思うわけです。薬を出さない診察では納得しないのです。

さらに、咳止めの薬だけ、鼻水の薬だけでも納得しない人が多いです。

患者さんを納得させるために抗生物質が処方されます。

『抗生物質を処方します』と患者さんに言えば、あたかもあなたをしっかり診察、診断、治療しました、というパフォーマンスをみせることができるわけです。

理由4.訴訟を回避する

4つ目の理由として考えられるのが訴訟リスクを減らすということです。

患者さんからお願いされた抗生物質を処方せず、患者さんの症状が悪化した場合、その患者さんはどう思うでしょうか?

そうです。『症状が悪化したのは抗生物質を処方してくれなかった医者のせいだ!』と思うようになるのです。その結果、病院に対するクレームになります。クレームで済むならまだましです。最悪、訴訟に発展するかもしれません。

こういった事情で、クレーム・訴訟回避のために抗生物質が処方されています。

抗生物質を処方しておけば、たとえ症状が悪化しても重大な病気の見落としでない限り、クレーム、訴訟にはつながりにくいでしょう。

抗生物質を処方しなかった先生に文句を言う患者さんがいました。
『せっかく抗生物質もらいに来たのに、時間が無駄になったわ・・・』
と言っていました。
しっかり診察して抗生物質が不要と判断したのにクレームになっちゃうんです・・・

理由5.10%は細菌が原因

漫画で風邪の9割はウイルスと書きました。つまり逆にいえば、1割は細菌が原因なのです。患者さんが100人風邪で受診した場合、10人に対しては抗生物質が効果あるのです。

一番いいのは、ウイルスが原因か、細菌が原因かを見極めて抗生物質を処方することです。
一般的には、せき・はな・のどの症状が同時に同程度あるとウイルスが原因と言われています。しかし、実際、完璧に見分けるのはむずかしいようです。

だから僕の薬局では、一律全員に抗生物質を処方してしまえ!ということになっちゃっています。重大な病気じゃなければ、『じゃあとりあえず抗生物質だしましょ~』という流れです。

ある研修を受けに行ったとき、そこの講師は
『抗生物質の処方量が多い医者はヤブ医者だ』
と言っていました。

理由6.副次的な効果を期待している

マクロライド系の抗生物質に関しては免疫力をアップさせる効果があることが知られています。
この効果を期待して、抗生物質が出ることがあります。

具体的にはインフルエンザの場合はクラリス(成分:クラリスロマイシン)と言う薬がでることがあります。

クラリスは抗生物質なので細菌に効果があり、インフルエンザウイルスを直接退治する力はないですが、体の免疫力をアップさせることでインフルエンザウイルスを退治させます。

以上、抗生物質が処方される理由を書きました。

風邪の処方に抗生物質を処方させると何が問題か?


それでは風邪に抗生物質を処方することの何が問題なのでしょうか。

医療費の増大

まずは医療費の問題です。
現在、日本の医療費は40兆円を超えています。

この原因の一つに不必要な抗生物質の投与があるとされています。

耐性菌の出現

だたし、抗生物質の処方の一番の原因は耐性菌の問題です。
抗生物質を頻繁に使っていると、今まで効果のあった細菌が耐性菌に変異する可能性があります。

耐性菌の場合は、今まで効果のあった薬が効かなくなります。
効かないということは耐性菌に感染した場合、それによって起きる病気が治りづらくなることを意味します。

たとえば、副鼻腔炎、中耳炎、ピロリ菌、肺炎などです。
また、髄膜炎や敗血症と言う病気が耐性菌によっておこった場合、命にかかわることになります。

そのため安易に抗生物質を使用すべきではないのです。

抗生物質が処方される理由を聞こう


風邪をひいて病院で医師に抗生物資とを出すといわれたら、思い切ってその抗生物質がなぜ必要なのか聞くといいです。
本当は不要であるのに抗生物質を出していることもあります。

風邪をひいて、その風邪が細菌によるものであったとしても、抗生物質を飲まなければその細菌を退治できないわけではありません。
体にはしっかり免疫機能が備わっています。

自分の免疫力に頼って細菌を退治すべきだと思います。
そのため個人的には風邪をひいてもよほど体力が落ちてなければ抗生物質は飲まないほうがいいと思います。

2017年3月に厚生労働省から抗生物質の手引書が出されました。
それによると、2050年には全世界で一年間で1000万人が耐性菌によって死亡すると推測されています。

それを避けるために抗生物質を適正に使用する必要があり、感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨すると明記されています。

ただ、よく見て見ると実際の診療では診断した医師の判断が優先される』も書いてあります。

結局のところ、最終的な判断は医者なのです。責任が処方する医者にあるわけだから、そりゃ『とりあえず抗生物質を処方しましょ』ってなっちゃいますよね。これでは抗生物質の処方量は減らせないでしょう。

薬剤師の嘆き

先日こんなツイートしました。

ちょっと咳、ちょっと鼻。
それだけで病院に来て薬が大量に処方される。
そして不要な抗生物質も・・・
薬も無駄だし、自分のやっていることも無駄に思えてくる・・・

僕の薬局では、風邪をひいたらほぼ間違いなく抗生物質が処方されます。
子供だろうが大人だろうがお構いなしに処方されます。

患者さんに抗生物質の説明をしても患者さんは特になにも疑問に思う様子はありません。
薬剤師として何もできない自分がむなしくなる瞬間です。


ちなみに抗生物質に関しては以下の本がおすすめです。
わかりやすい説明で読みやすかったです。

以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
参考文献:抗微生物薬適正使用の手引き 第一版(案)

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