この記事では、β-ラクタム系抗生物質の作用機序をわかりやすく説明します。
まず、簡単に理解できるように下手ですが漫画をつけました。
ご覧ください。
漫画~β-ラクタム系抗生物質の作用機序~
以上が漫画になります。
もう少し詳しく知りたい方 は、関連記事の下に漫画では説明しきれなかったことを書きました。
ご覧ください。
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静菌作用
まず、β-ラクタム系抗生物質には、静菌作用があります。
静菌作用というのは、細菌の増殖を抑制する作用ということです。
細菌には、細菌を囲む細胞壁という壁を持っている菌がいます。
この細胞壁の成分はペプチドグリカンと呼ばれる物質です。
β-ラクタム系抗生物質は、細菌の細胞壁を合成するために必要な酵素であるペプチドグリカン合成酵素(ペニシリン結合タンパクとも呼ばれます)を阻害する作用があります。
細胞壁が作れなくなると、細菌は細胞分裂をするたびに細胞壁が薄くなってしまい、最終的には、増殖することができなくなります。(静菌作用)
殺菌作用
β-ラクタム系抗生物質のもう一つの作用は、殺菌作用です。
細胞壁を合成できなくなった細菌は、自分の形を維持することができなくなってしまいます。
つまり、浸透圧によって周りにある水が細菌の中に入ってきて破裂(溶菌)してしまうのです。(殺菌作用)
耐性菌について
細菌の中にβ-ラクタマーゼという物質を産生する菌がいます。
この物質は、β-ラクタム系抗生物質を分解してしまいます。
そのため、細胞壁をもっている細菌であっても、β-ラクタム系抗生物質が効かなくなってしまうのです。
(耐性をもつということ)
この問題の解決法として考えられたのが、β-ラクタマーゼ阻害薬配合抗生物質です。
これは、β-ラクタム系抗生物質を分解してしまうβ-ラクタマーゼを阻害する物質を抗生物質に配合しています。
これにより、抗生物質が分解されず細菌を退治することができます。
β-ラクタム系の抗生物質は細菌の細胞壁に作用する薬です。
ヒトの細胞は細胞壁をもっていません。
そのため、β-ラクタム系抗生物質はヒトの細胞を壊す作用がないため安全性が高い薬です。
また、細胞壁をもたない細菌(マイコプラズマなど)に対して効果はないです。
そして、ウイルスも細胞壁を持たないので効果がありません。
風邪の原因の9割がウイルスです。
なのに、風邪をひくとβラクタム系の抗生物質が処方されることがあります。
作用機序を考えれば効くはずがないのに不思議ですね・・・
ちなみに抗生物質に関しては以下の本がおすすめです。
わかりやすい説明で読みやすかったです。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。