在宅未経験薬剤師
『在宅ってどんな感じで始まっていくのかな?』
その疑問に答えます。
僕は調剤薬局の管理薬剤師を8年ほどやっています。
調剤薬局には10年以上います。
僕の今までの経験を交えて在宅の始まり方を説明しようと思います。
在宅の始まり方は4種類
在宅の始まり方は、アクション別に分けて以下の4つに分類できます。
- 医師
- 薬剤師
- 他職種
- 患者・家族
それぞれ説明していきます。
医師
医師が診察などのときに、『薬の管理が必要』と判断した場合、医師から在宅の指示が出ることがあります。
- 薬局が在宅ができることをアピールしている
- 訪問看護師やヘルパーでは手におえない
- 医師が在宅に熱心
こういった場合に、医師が発信で在宅が始まるケースがあります。
調剤薬局に在宅の指示を出す場合、医師には必要な届け出はありません。
在宅をやっていない医師でも在宅の指示を出すことができます。
そして、処方せんに『訪問指示』や『在宅指示』のコメントをいれます。
また口頭で指示を出すこともできます。
薬剤師
患者さんに投薬するときに、薬剤師が『薬の管理が必要』と判断した場合、患者さんの同意を受けて在宅が始まることがあります。
患者さんの同意を受けた後、医師に現状を伝え、在宅の指示をもらいます。
- 地域支援体制加算(薬剤師1人につき年12回)
- 在宅患者調剤加算(年10回)
調剤薬局はこれらの加算を算定するために、在宅を熱心にやっていることもあります。
他職種
患者さんの家に出入りする訪問看護師やケアマネージャーからの相談で、在宅が始まることがあります。
患者さんの薬の管理をしているのが、他職種の人だったりするためです。
簡単な薬なら問題ありません。
しかし、薬が複雑になってくると管理しきれなくなり薬局に相談に来られ、在宅が始まります。
始める前には、しっかり情報を共有して、料金や調剤薬局でできることを説明する必要があります。
これ以外にも、介護施設の職員から相談を受けることもあります。
患者・家族
患者さんや家族から薬の管理をして欲しいという依頼を受けて在宅が始まることがあります。
薬剤師は状況を把握するために、患者さんの家に一度伺います。
薬の管理が必要と判断した場合、医師に現状を伝え、在宅が始まります。
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在宅を始めるときの注意点は5つ
在宅を始めるときの注意点は以下の通りです。
- 介護保険証を持っているか
- 在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出書
- 1人で通院することが困難か
- 患者さんの住所
- 薬の内容
それぞれ説明します。
介護保険証を持っているか
患者さんが介護保険証を持っているかどうか確認してください。
介護保険証の有無によって、在宅の料金の請求先が異なるからです。
- 介護保険証を持っている
居宅療養管理指導を介護報酬として国保連合会に請求 - 介護保険証を持っていない
在宅患者訪問薬剤管理指導を調剤報酬として調剤技術料や薬剤費と共に請求
介護保険証を持っていると、調剤報酬と介護報酬で領収書が2種類でてくるはずです。
65歳以上になると介護保険証が交付されます。
また40歳から64歳の人でも介護認定(要支援・要介護)を受けると介護保険証が交付されます。
在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出書
在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出書を厚生局に提出する必要があります。
提出がないと、在宅患者訪問薬剤管理指導を算定することができません。
上司や本部にこの届出が済んでいるか確認してください。ほとんどの調剤薬局は、開局する際に提出してしまっていると思います。(平成21年度調査で75%が届出済)
ちなみに居宅療養管理指導の方は、介護保険のみなし規定により、届出は不要です。
1人で通院しているか
在宅患者訪問薬剤管理指導の算定条件に、『在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なもの』とあります。
ここでいう『通院が困難』とは、患者さんが家族の助けを借りないと通院できないことを意味します。
つまり、1人で病院に通っている場合は算定ができません。
1人で通院しているかどうか確認しましょう。
患者さんの住所
在宅を始める前に患者さんの住所を確認しておきましょう。
もし距離が遠いようなら近くの調剤薬局に依頼をすることもあるためです。
急に薬が必要になった場合、患者さんが不利益を受けることもあります。
また在宅患者訪問薬剤管理指導は、原則、薬局と患者さんの家が16キロ以内でないと算定できません。
一方、居宅療養管理指導には上記のような規定がありません。
薬の内容
薬の内容を確認してください。
- 無菌調剤
- 麻薬
- 医療材料
すぐに在宅を始めることが困難な場合もあるため必ずチェックしてください。
無菌調剤は共同利用が可能になりましたが、一定の研修が必要なため早めに研修を受けておきましょう。
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僕が在宅を始めたとき
僕が始めて在宅を始めたのは、医師から依頼があったときです。
在宅をやってみたかったので、処方元の先生に依頼して、『在宅をできそうな患者さんがいたら紹介してください』とアピールしていたのです。
紹介していただいた患者さんの在宅は、2年くらい続きました。
先日こんなツイートしました。
在宅で始めて担当した患者さんが亡くなったときの話。
ご家族がわざわざ薬局までお礼を言いにきてくれたのは嬉しかったなぁ。
今まで言われた『ありがとう』の中で、一番嬉しかった『ありがとう』です。
頑張った甲斐があった。この言葉をまたもらえるように、今日も頑張っています。
— awakoji (@awakoji) 2019年4月25日
ご家族がわざわざ薬局までお礼を言いにきてくれたのは嬉しかったなぁ。
今まで言われた『ありがとう』の中で、一番嬉しかった『ありがとう』です。
頑張った甲斐があった。
この言葉をまたもらえるように、今日も頑張っています。
在宅業務は、患者さんの生活に深く入り込む業務になります。
そのため、通常業務では感じないやりがいを味わうことができます。
普段の業務で忙しく、採算がとれないという問題はあります。
しかし、それ以上の経験とやりがいを得られる業務です。
ぜひ皆さん、積極的に在宅にかかわっていきましょう。
ちなみに在宅に関しては以下の本がおすすめです。
在宅をするときの疑問点を解決してくれます。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。