動脈硬化とは、漢字の通り、動脈が固くなることです。
動脈が固くなると、血管がもろくなっていきます。
血管がもろくなってくると、血中を流れる悪玉コレステロールが血管の中に入り込み、それが蓄積していきます。
すると、血液の流れが悪くなったり、詰まったりします。
動脈硬化が進行していくと起きる場所によって、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、狭心症や心筋梗塞が引き起こされます。

それでは、動脈硬化が進行する原因は一体何でしょうか?
この記事では、動脈硬化が進行する原因をわかりやすく説明します。
高脂血症(脂質異常症)
まず、動脈硬化が進行する原因としてよく知られているのが高脂血症です。
最近、高脂血症は脂質異常症と呼ぶようになりました。
脂質異常症とは、血液検査において、悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪が高かったり、善玉コレステロール(HDL)が低かったりする状態をいいます。
善玉コレステロールが低いことも問題であるため、「高脂血症」の「高脂」が意味にそぐわなくなり脂質異常症と呼び方が変わりました。
悪玉コレステロール(LDL)
悪玉コレステロールは動脈硬化を引き起こす張本人です。
悪玉コレステロールが血管の壁に入り込み血管が内側に盛り上がっていきます。
すると、血管の幅が狭くなることで血流が悪くなって動脈硬化が進行します。
中性脂肪
中性脂肪は悪玉コレステロールを小型化します。
小型化された悪玉コレステロールは血管の壁に入り込みやすくなり動脈硬化が進行してしまいます。
また中性脂肪は悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させる作用もあります。
善玉コレステロール(HDL)
善玉コレステロールは、血管に蓄積している悪玉コレステロールを回収する働きがあります。
そのため善玉コレステロールが低くても動脈硬化が進行してしまいます。
【脂質異常症の診断基準】
- 悪玉コレステロール 140mg/dl以上
- 善玉コレステロール 40mg/dl未満
- 中性脂肪 150mg/dl以上
空腹時に採血した血液検査でいずれかをみたせば脂質異常症になります。
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高血圧
また、動脈硬化が進行する原因としてよく知られているのは、高血圧です。
血圧とは、血管の中を流れる血液が血管を押している力(圧力)のことを言います。
高血圧とは、この圧力が強いことを言います。
高血圧になると、血液が血管を絶えず押している状態のため、血管が少しずつもろくなっていきます。
その結果、悪玉コレステロールが血管の壁に入り込みやすくなり動脈硬化が進行します。
高血圧かどうかは血圧測定器で血管が受ける圧力を測定するによって判断します。
血圧測定器は、自動のものであったり医師が直接測ってくれたりします。
血圧測定によって測定される値は2種類あって、大きい数字のものを上の血圧(収縮期血圧)、小さい数字のものを下の血圧(拡張期血圧)といいます。
収縮期血圧=心臓が収縮したときの血圧(心臓から血液が出されている時の血圧なので高くなる)
拡張期血圧=心臓が拡張したときの血圧(心臓から血液が出され終えた時の血圧なので低くなる)
【高血圧の診断基準】
上の血圧・・・140mmHg以上
下の血圧・・・90mmHg以上
ただし、これは病院で医師の前で血圧を測定した場合です。
家で測定した場合は、
上の血圧・・・135mmHg以上
下の血圧・・・85mmHg以上になります。
mmHgの読み方は、ミリ水銀です。これは血圧の値の単位です。
Hgは元素記号の水銀を意味し、水銀を使用した血圧計を使うところからきています
高血糖
高血糖も動脈硬化を進行させる原因になります。
高血糖というのは、血糖値(血液を流れるブドウ糖の量)が高い状態を言います。
一定の診断基準を満たせば糖尿病と診断されます。

インスリン
高血糖が起きるのは、膵臓から分泌されるインスリンの作用が弱くなっているのが主な原因です。
これをインスリン抵抗性と言います。
インスリンはブドウ糖を筋肉や臓器などに取り込ませることで血糖値を下げます
インスリン抵抗性が上がると、インスリンの作用を強くするために、膵臓がインスリンを分泌の量を増やします。
これによって、高インスリン血症になります。
インスリンは、高血圧や脂質異常症の原因になり動脈硬化が進行します。
血液の粘度
血糖値の上昇による血液の粘度があがります。
つまり血液がドロドロになります。
この結果、血液の流れが悪くなり動脈硬化が進行していきます。
血管の機能
高血糖になると、血管の機能を障害し動脈硬化が進行すると考えられています。
他の病気の発症
また糖尿病は放っておくと、高血圧や脂質異常症や高尿酸血症など他の病気を発症します。
ほかの病気が発症すると、動脈硬化がより進行しやすくなります。
【高血糖の診断基準】
空腹時血糖値・・・126mg/dl
それ以外の血糖値・・・200mg/dl
空腹時血糖値というのは前日の夕食後以降、水やお茶以外の飲食をしないで翌日に行った血液検査です。
高尿酸血症
高尿酸血症も動脈硬化を進行させる原因です。
高尿酸血症というのは、血液検査において尿酸値が高い状態を言います。
尿酸値が高いと、血管の機能を障害し動脈硬化が進行すると考えられています。
また高尿酸血症は、高血圧や脂質異常症や糖尿病などを引き起こし動脈硬化を進行させる原因になります。
【高尿酸血症の診断基準】
尿酸値が7.0mg/dl以上
タバコ
タバコはがんを引き起こすイメージですが、動脈硬化を進行させる原因にもなります。
タバコにはタール、ニコチン、一酸化炭素などが含まれています。
がんを引き起こすのは、タールで発がん性物質と言います。
動脈硬化に問題があるのが、ニコチンと一酸化炭素です。
ニコチン
ニコチンは血管を収縮させる作用があります。
つまりタバコを吸うたびに血圧を上昇させ高血圧を引き起こします。
すでに書いたとおり、高血圧は動脈硬化を進行させます。
一酸化炭素
一酸化炭素は善玉コレステロール(HDL)を減少させます。
善玉コレステロールは、血管の壁に蓄積している悪玉コレステロールを回収し動脈硬化の進行を食い止める役割があります。
そのため一酸化炭素の摂取により善玉コレステロールが減少することで動脈硬化が進行してしまいます。
ストレス
副腎皮質ホルモン
ストレスをうけると人間は脳の視床下部というところからホルモン(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン:CRH)を分泌します。
このホルモンは、脳の下垂体という部分を刺激して別のホルモン(副腎皮質刺激ホルモン:ACTH)を分泌します。
このホルモンは副腎という腎臓の上にある臓器を刺激します。
すると、この副腎から副腎皮質ホルモンが分泌されます。
このホルモンは、高血圧、高血糖、脂質異常症を引き起こします。
その結果、動脈硬化が進行していきます。
副腎皮質ホルモンは受けたストレスに対抗するために分泌されます
ストレス解消
またストレスをうけると、そのストレス解消のために食事や間食やアルコールの量が増えやすくなります。
結果として動脈硬化が進行してしまいます。
食生活
塩分・脂質・糖質・アルコール・カロリーの摂り過ぎが、高血圧、脂質異常症、高血糖、高尿酸血症などの生活習慣病を引き起こして動脈硬化を進行させる原因になります。
野菜・果物・魚・豆類の不足、大食い、早食いも生活習慣病のもとになっていきます。
運動不足
運動不足ももちろん動脈硬化を進行させる原因です。
運動不足だと摂取したカロリーを消費できなくなり、生活習慣病を引き起こすためです。
また運動不足は善玉コレステロールの減少や、中性脂肪の増加などにつながります。
遺伝
親が生活習慣病であると、その子供もその生活習慣病を引き起こしやすいです。
これは、遺伝的にその病気を引き起こしやすいことも理由です。
また親と生活スタイルが似てしまうことも理由でしょう。
いずれも動脈硬化を進行させる原因になります。
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睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群というのは、いびきをかいて寝ているときに突然呼吸が一時的に止まってしまうことを言います。
呼吸が止まるということは、その間、酸素不足になるため血管や様々な臓器に悪影響を与えます。
そのため、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病を引き起こし動脈硬化が進行する原因になると考えられています。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。