新米管理薬剤師
『管薬に昇進したけど、わからないことだらけで不安・・・
どんな知識を持っていればいいんだろう?』
管理薬剤師には、いろんな知識を必要とされます。
これから管理薬剤師になる人は、自分の知識のなさに焦っているのではないでしょうか?
この記事では、これから管理薬剤師になろうという人に向けて、最低限おさえておきたい知識を簡単にまとめました。
ちなみに僕は、かれこれ8年以上管理薬剤師をつづけています。
まだまだ未熟ではありますが、新米の管理薬剤師になら少しだけ教えることもあると思います。
お役にたてれば幸いです。
管理薬剤師に必要な知識リスト
管理薬剤師が知っておいてほしい知識は以下の通りです。
- 1.調剤拒否
- 2.麻薬
- 3.処方日数制限
- 4.かかりつけ薬剤師
- 5.代替調剤の可否
- 6.調べるためのサイト
以下、それぞれの項目を説明していきます。
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1.調剤拒否
調剤拒否についてです。
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。(薬剤師法21条)
正当な理由とはどんなときか整理しておきましょう。
正当な理由については、『薬局業務運営ガイドライン(H5.4.30 薬発第 408 号 薬務局長通知)』を読むとわかります。
簡単にまとめると、
- 疑義照会できないとき
- 薬剤師不在のとき
- 在庫がないとき(他店舗紹介必要)
- 災害や事故のとき
です。
ちなみに、薬剤師法1条は、
薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。
ですね。
そのため、個人的には、患者が薬剤師の話を全く聞こうとせず、症状もまったく話そうとしない場合も正当な理由の中にいれたいです。
こういう状況では、国民の健康な生活を確保できなくなりますから・・・。
2.麻薬
麻薬に関しては、厚労省が出している薬局における麻薬管理マニュアルを読んでください。
特に2章の譲受、譲渡のところが重要です。
簡単にまとめると、
- 麻薬譲渡証の保管は2年間
- 調剤済の麻薬は廃棄後事後報告
- 期限切れの麻薬は立会いの上で廃棄
- 原則、薬局間の譲受は厳禁
麻薬の廃棄の報告に関しては、在宅で輸液などを扱うようになってくると少し廃棄のルールがややこしくなります。
僕が一度まちがえたのは、施用残りの麻薬注射液は、届出不要なのに廃棄申請してしまったことです。
申請後、電話で『いらないですよ。』と言われてしまいました。
詳しく知りたい方はこちらのサイトを参考にしてください。
麻薬廃棄・麻薬事故に関する手続き
3.薬の保管場所
麻薬や向精神薬などの保管場所について簡単に整理しておきましょう。
管理薬剤師が知らないと恥ずかしいです。
向精神薬・・・引き出しに鍵かけるか、業務終了後に出入り口にカギ
毒薬・・・他のものと区別して鍵
劇薬・・・他の物と区別
麻薬・・・鍵のある移動できない金庫
覚せい剤原料・・・鍵つきの引き出し。麻薬と一緒に保管できない。
ポイントは向精神薬でしょうか。
業務終了後、調剤室のドアに鍵をかければ、必ずしも鍵つきの引き出しに入れる必要はありません。
4.処方日数制限
薬によって処方日数に制限があるので注意しましょう。
- 新薬14日分
- 麻薬14日または30日
- 向精神薬14日または30日または90日
薬の種類によって日数がことなるので詳しくはググってください。
『投薬期間制限医薬品』などと検索するといい感じの表がでてきますよ。
また、卸さんやメーカーさんが資料持っていたりするので担当にお願いしてもいいでしょう。
ちなみに、新薬についてですが、14日制限がいつ解除されるかはっきり知らない人がいますね。
添付文書を見てください。
右上に、薬価収載された月が記載されています。
ここに記載された月から1年間が14日制限です。
つまり、たとえば、薬価収載月が2019年4月であれば、2020年の5月1日から14日制限が解除されます。
さらに14日の日数制限ですが特殊な事情があれば30日を限度として処方可能です。
特殊な事情とは、
- 海外旅行
- 年末年始
- ゴールデンウィーク
です。
国内旅行、お盆などは特殊な事情にあたりませんが、地域によってはOKなところもあるようです。
5.かかりつけ薬剤師
自分および他の薬剤師が、かかりつけの条件をみたすかしっかり把握しておくべきでしょう。
簡単に条件をまとめると、
- 3年以上の薬局経験
- 1年以上在籍している薬局
- 認定薬剤師
- 地域活動
です。
かかりつけ薬剤師指導料は73点とかなり大きいので条件を満たす薬剤師がいれば、積極的にとったほうが会社の利益になるでしょう。(個人の利益にはなりませんが・・・)
地域活動については、地域によって認められる活動が違うので事前にチェックすべきでしょう。
学校薬剤師でのビラ交付、異なる市町村での活動、薬局独自の健康フェアなど認められないケースがあります。
6.代替調剤の可否
処方せんの記載をみて、代替調剤が可能なのか知っておいてほしいところです。
いつまでたったも、理解していない薬剤師がいます。
表にしたので参考にしてください。
記載\調剤 | 先発品 | 先発品 別メーカー |
先発品 別剤型 別規格 |
後発品 | 後発品 別メーカー |
後発品 別剤型 別規格 |
一般名 | 〇 | – | × | 〇 | – | △ |
先発品 | 〇 | × | × | 〇 | – | △ |
後発品 | × | × | × | 〇 | 〇 | △ |
〇・・・調剤OK
△・・・薬剤料が同額以下ならOK
×・・・調剤不可
後発品を調剤するのであれば、処方箋の記載にかかわらず調剤OKです。
ただ、別剤型や別規格にする場合は、変更前の薬剤料と比べ高くならないようにすることが条件です。
比べるのは薬剤料です。
薬価ではないので注意が必要ですね。
ただ、ここらへんの細かい規定は、処方元はしらないことがほとんどです・・・。
疑義照会しても、
『なんでそんなことで電話してくるんだ?』
と思われることが多いでしょうね。
7.調べるためのサイト
薬に関する情報を調べるサイトについて知っておいてください。
まず、『お薬110番』です。
薬の効果や副作用についてわかりやすく書いてあります。
僕は、ジェネリックがあるかどうかを調べたり、その薬価を調べるのにも重宝しています。
2つ目は、『くすりのしおり』です。
年に1度か2度ほど、薬の説明書の英語版が欲しいといわれることがあります。
どうも海外旅行や留学などで使うようです。
このサイトで検索すれば、薬の説明書の英語版を見ることができて印刷も可能です。
ただ、すべての薬が網羅されているわけではありません。
特に、ジェネリックはすべてのメーカーがあるわけではないようです。
ない場合は、先発品など違うメーカーの同一薬効成分の説明書を用意すればいいかなと思います。
3つ目は、『PMDA』です。
このサイトは添付文書を見るために使う人が多いでしょう。
でも、別の目的でもつかうもできます。
たとえば
- 副作用に腹痛があるのは、どんな薬か?
- 禁忌が緑内障であるのはどんな薬か?
そんなときに『項目内検索』で添付文書に記載されている言葉を検索すると、該当する薬を探すことができます。
処方元の医師から質問があったときなどに有用です。
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あとがき
以上、管理薬剤師に知っておいてほしいことをまとめました。
正直、まだまだ知らないといけないことはあります。
ただ、焦って覚えようとする必要はありません。
読んでいて気づいた人もいるかもしれませんが、わからなければその都度しらべらばいいのです。
大切なことは、わからないことがでてきたときに、知りたい情報をどうやって調べればよいかを整理しておくことです。
いきなりいろんな知識をつめこもうとせず、業務をやりながら少しずつ覚えていきましょう!