胃の機能が低下していることが原因
機能性ディスペプシアは、日本人の10%程度にみられる病気です。
また上腹部(みぞおち辺り)の訴えで病院を受診された患者の半数が機能性ディスペプシアであるという報告があります。
この記事では、機能性ディスペプシアとは何かについて説明し、その症状と原因を説明します。
まず、簡単に理解できるように下手ですが漫画をつけました。 ご覧ください。
漫画~機能性ディスペプシアとは?~
以上が漫画になります。
もう少し詳しく知りたい方は、下に漫画では説明しきれなかったことを書きました。
よければご覧ください。
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機能性ディスペプシアとは?
胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍があるわけでもないのに、胃もたれやみぞおちの痛みなどの腹部を中心とした症状がでる病気を機能性ディスペプシアと言います。
この場合、内視鏡検査(胃カメラ)や超音波検査(エコー)を行っても異常は見られません。
今までは、ストレス性胃炎、神経性胃炎、慢性胃炎などの病名で診断がされていました。
しかし、近年こういった状態を、機能性ディスペプシアと呼ぶことになりました。
機能性ディスペプシアの症状は?
機能性ディスペプシアの症状は、食後愁訴症候群(PDS)と心窩部痛症候群(EPS)の2つのタイプにわかれます。
食後愁訴症候群(PDS)
「愁訴」は、「しゅうそ」と読みます。
患者が訴える症状のことです。
つまり食後愁訴症候群というのは、食べた後に患者が訴える症状を意味します。
}食後愁訴症候群は、主に以下の2つです。
- 胃のもたれ
食後、食べた物がいつまでも胃に残っている感じがする - 早期膨満感
食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになる、
普通の量のごはんが食べられない
これらに関連しておなかが張る、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状もでることがあります。
表現の違いで起きていることは同じの症状もあるかと思います。
心窩部痛症候群EPS
「心窩部」は「しんかぶ」と読みます。
みぞおちのことです。
つまり、心窩部痛諸侯群とは、みぞおちの痛みを中心とした症状を意味します。
心窩部痛症候群は、主に以下の2つの症状があります。
- みぞおちの灼熱感
みぞおちに不快な熱がある感じがする - みぞおちの痛み
みぞおちに不快な痛みがある
また食後愁訴症候群や心窩部痛症候群の症状が出てくることで、生活に支障をきたし、QOL(生活の質:quality of life)が低下する場合もあります。
機能性ディスペプシアは、腹部、特に上腹部(みぞおち)の症状になります。
そのため、胸やけなどの胃酸の逆流による食道の症状は、胃食道逆流症と呼ばれ、機能性ディスペプシアとは区別されます。
症状が起きる原因
機能性ディスペプシアで起きる症状は、以下の3つの胃の機能が低下していることが原因です。
胃適応性弛緩障害
食べ物が胃に入るとき、胃の入り口側(胃底部)が拡張します。
これを胃適応性弛緩といいます。
胃の入り口側にしばらく食べ物が貯留し消化され少しずつ胃の出口側(幽門前庭部)に送られていきます。
機能性ディスペプシアの患者は、胃適応性弛緩障害の人が多く、この障害があると胃がうまく広がらず、食べ物を貯留できないため、早期満腹感が出ます。
そして、食べ物が胃の入り口側に貯留さらず、すぐ出口側に落ちてそこで貯留され出口付近でつまってしまい、胃もたれが起きます。
さらに、胃がうまく広がらない状態で、食べ物が胃に入ってくると胃を圧迫して胃の痛みが出てきます。
胃排出遅延
食べ物が胃に入ると、胃は食べ物を胃の出口に送り出す機能があります。
機能性ディスペプシアの患者は、胃の排出が遅延している人が多く、食べ物がいつまでも胃の中に滞在することで胃もたれや吐き気が発現します。
内臓知覚過敏
機能性ディスペプシアの患者の胃は刺激に対して過敏に反応することがあります。
刺激には、食べ物が入ったときの物理的刺激や温度による刺激、また胃酸や食事の成分による化学的刺激があります。
胃が過敏に反応すると、少しの刺激で胃の痛みや灼熱感が発現します。
胃だけではなく、十二指腸も過敏に反応することがあり、胃酸や脂肪による刺激で、膨満感や不快感を感じるという報告もあります。
機能性ディスペプシアの患者の胃酸の分泌量は健康な人と比べて変わらないという報告があります。
つまり、胃の痛みや灼熱感は、胃酸の出すぎで起きているというわけではないようで、胃が過敏に反応して痛みが起きているようです。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。