新人薬剤師
『薬局の不正がたまに騒がれてるよね?
だけど、どこの会社がどんなことしたの?』
その疑問に答えます。
僕は、調剤薬局の管理薬剤師を8年ほどやっています。
調剤薬局には10年以上います。
今まであった薬局の不正についてまとめてみました。
この記事の内容
薬局の不正まとめ
今まで不正などのニュースで騒がれた薬局は、以下の通りです。
時期 | 薬局 | 内容 |
---|---|---|
2008年 | スギ薬局 | 不正流用 |
2015年 | くすりの福太郎 | 薬歴未記載 |
2015年 | CFSコーポレーション | 薬歴未記載 |
2015年 | ファーマライズHD | 無資格調剤 |
2017年 | 関西メディコ | ハーボニー偽造品 |
2017年 | クオール薬局 | 処方箋付け替え |
2017年 | アイセイ薬局 | 処方箋付け替え |
2017年 | クラフト | 処方箋付け替え |
2018年 | ファーマみらい | 管理薬剤師の他店舗勤務 |
それぞれ説明します。
スギ薬局
2008年、元取締役経理部長による資金の不正流用が発覚しました。
先物取引の損失を会社の資金で埋めようとしました。
被害は4億3千万円。
この影響で、
- 株価が急落
- 違法な勧誘をした先物取引の会社を提訴
といったことが起こりました。
くすりの福太郎
2015年、ツルハホールディングスの子会社『くすりの福太郎』の48店の薬局で、17万件以上の薬歴が未記載であることが判明しました。
患者から受け取った情報をメモで残し、パソコンには入力していませんでした。
件数から判断すると、故意に書いていなかったのでしょう。
メモすら存在しないケースもあったのではないかと考えられます。
1億7千万円が自主的に返還され、社長が更迭されました。
CFSコーポレーション
2015年、ハックドラッグを展開していた『CFSコーポレーション』の20店の調剤薬局で、7万件以上の薬歴が未記載でした。
くすりの福太郎と同じく、メモだけ残し、パソコンには入力していないとのことですが、こちらもメモすら存在していないケースがあったでしょう。
CFSコーポレーションは、2016年に吸収合併されて『ウェルシア薬局』となっています。
ファーマライズホールディングス
2015年、内部告発により無資格者つまり事務員による調剤行為が発覚しました。
最初、ファーマライズは否定しており、保健所の立ち入り検査でも無資格調剤は認められませんでした。
しかし、朝日新聞が、無資格調剤が行われている様子が録音された音声記録を手に入れたことで、無資格調剤を認めたと言われています。
こちらは、薬剤師がいない状態で、事務員が調剤し、なんと投薬までしていました。
関西メディコ
この事件は不正ではないですが、薬局の信頼を揺るがす事件でした。
関西メディコの奈良県にあるサン薬局でC型肝炎治療薬『ハーボニー配合錠』の偽造品が患者に調剤されてしまいました。
この事件で、
- 5日間の業務停止
- 管理薬剤師の変更命令
といった処分になりました。
『卸から入ってくる薬が偽物』ということに、薬剤師はかなり驚いた事件です。
クオール薬局
2017年、秋田県にあるクオール薬局の店舗で処方箋の付け替えが判明しました。
処方箋の付け替えとは、店舗でうけた処方箋を、別の店舗で受けたものと処理して集中率をさげる行為です。
集中率がさがれば、調剤基本料を高くすることができます。
この影響を受けて
- クオールの中村勝氏が日本保険薬局協会(NPhA)の会長職を辞任
- 東京理科大学薬学部の学生がクオールでの実務実習を辞退
- 翌年の調剤報酬改定で勤務者・その家族の処方箋は集中率の計算に入れない
といった動きがありました。
アイセイ薬局
2017年、クオール以外にもアイセイ薬局で処方箋の付け替え問題が発覚しました。
クオールの報道をうけて、アイセイ薬局が自主点検した結果、付け替えがわかりました。
しかし、
- 付け替えた処方箋枚数
- 不正を行った期間
- 不正が行われた店舗数
は公表されていません。
不正は組織ぐるみではないとのことで、関わった社員だけが処分されました。
クラフト株式会社
2017年クオール、アイセイに続いて、クラフト株式会社の群馬県にあるさくら薬局で、処方箋の付け替えが発覚しました。
この不正は、日本保険薬局協会(NPhA)が自主点検を実施して、『これ以上は、付け替えの不正はない』と結論が出たあとに発覚しました。
つまり、自主点検の信頼性が低いというわけです。
残念ながら、他でも付け替えは行われているでしょう。
ファーマみらい株式会社
東京都内の27店舗の薬局の管理薬剤師が、届け出とは違う薬局で勤務していたことが発覚しました。
また、勤務薬剤師も届け出をしていない店舗で勤務していました。
管理薬剤師は、自分の店舗以外で薬剤師として働くことができません。(薬機法7条1項)
勤務薬剤師も登録された店舗でしか働けません。(薬機法10条1項)
この不正が発覚したのは、内部告発のようです。
無通告でいきなり立ち入り検査が行われました。
これがきっかけで、薬局開設者に対して業務改善命令がでました。
以上、薬局の不正についてまとめてみました。
不正に気づいたらどうすべきか?
では、不正に気づいたとき、僕たち薬剤師が取るべき行動は何でしょう。
それは以下の通りです。
- 不正に絶対関わらない
- 開設者に意見
- 内部告発
- 逃げる(転職)
それぞれ説明します。
不正に絶対関わらない
上司から不正になってしまう業務命令があった場合、絶対に断りましょう。
もしあなたが管理薬剤師であった場合、例え上司の命令であったときでも管理薬剤師が責任を取ることになります。
最悪の場合、免許剥奪にもなりかねません。
- 社内メールの保管
- ICレコーダーへ録音
- 違法が行われている写真・動画
など、何かあった時に身を守れるように用意しておくことも大切です。
業務命令が口頭である場合、文書にしてもらうことお大切です。
開設者に意見
薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局の業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなければならない。(薬機法8条2項)
管理薬剤師は、開設者に意見することは義務です。
不正が発覚した場合、責務を果たすためにも開設者に必ず報告しましょう。
大きい会社であれば、通報窓口もあります。
すぐに報告しましょう。
内部告発
窓口を使ったり、開設者へ改善の要求をしても問題が解決しない場合は、内部告発が1つの手です。
内部告発をする相手は3つあります。
- 会社
- 行政機関(保健所、厚生局)
- マスコミ
会社は、さきほど説明した通報窓口のことですね。
行政機関やマスコミに対しては、違法行為があることが明らかである場合に利用しましょう。
パワハラやセクハラなどの訴えに関しては適しません。
逆に名誉毀損で訴えられることもあるので注意が必要です。
『内部告発により、会社から報復をうけるかも』
と心配する人もいるかもしれません。
しかし、公益通報者保護法という告発者を守る制度があります。
こちらの記事が参考になります。

なので、内部告発も1つの対策になります。
逃げる(転職)
内部告発はかなり体力を使い、メンタル的にも消耗します。
内部告発を勧めない人もいます。

なので、不正をやっている薬局で、なおかつ個人の努力では改善できないのなら、逃げてしまうのがベストです。
しっかりルールを守っている薬局に転職しましょう。
転職するには転職サイトを利用するのが楽です。
なぜなら、コンサルタントに希望の条件を伝えるだけで、代わりに良い案件を探してくれるからです。
なので、もしあなたが不正に悩んでいるようなら、転職サイトのコンサルタントに相談することをおすすめします。
コンサルタントに相談することで、
- ほかの薬局の情報を知ることができる
- 自分の薬局を他と比べることができる
- 自分の考えを客観的に捉えることができる
- 自分の市場価値を知ることができる
こんな感じで、いろんなメリットがあります。
すべて無料なので利用しないともったいないです。
ただ、薬剤師の転職サイトはたくさんあって、どこを利用すればいいかわからない人もいると思います。
おすすめの転職サイトは下記になるので参考にしてください。
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順位は、僕が独自に、薬剤師の転職サイト20社を調査してランキングしたものです。
薬局での不正は、最悪、免許剥奪になることもあります。
自分の薬局が問題ないか、よく考えてみましょう。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。