肝臓というのは右上腹部にあり、重さ約1.5kgほどです。
エネルギーを生み出すための代謝を行ったり、有害物質を分解したり、胆汁を産生したりする働きがあります。
また肝臓の病気にはさまざまあって、脂肪肝、肝炎、肝硬変が有名です。
このような病気で肝臓が悪くなると、一体どういうことが起きるのでしょうか?
この記事では、肝臓が悪くなったときに起きる症状について説明します。
体のだるさ
肝臓はさまざまな物質を作り出したり、有害物質を分解する臓器です。
肝臓が悪くなると、こういった働きができなくなり、体のだるさ、疲れ、倦怠感、眠気として症状が出ることがあります。
浮腫
肝臓が悪くなると、浮腫(ふしゅ)がでてきます。
浮腫というのは、むくみのことです。
足がむくんだり、腹水(ふくすい)になることもあります。
この症状には肝臓で産生されるアルブミンという物質が関わっています。
アルブミンというのは、血液中の水分を保つ働きがあります。
肝臓が悪くなることでアルブミンが作られなくなり浮腫がでてきます。
出血
肝臓が悪くなると、出血が起きやすくなります。
これは肝臓で作られるプロトロンビンという物質が、肝臓が悪くなることで作られなくなるためです。
プロトロンビンというのは、血液を凝固させる役割のある物質です。
このプロトロンビンが減少すると血が固まる時間が長くなって出血が起きやすくなります。
また、肝臓が悪くなると血中の血小板(この物質も血を固める役割がある)の数が減少することも原因の一つです。
血中の血小板が減少するメカニズムは、
- 肝臓が悪くなり、肝臓が固くなる
- 脾臓から肝臓への血の流れが悪くなる
- 血液が脾臓にたまり、脾臓が大きくなる(脾腫)
- 脾臓は、血小板の貯蔵庫。血小板が、脾臓にたまる。
- 血中の血小板数が減少し出血が起きやすくなる
という流れです。
総コレステロールの低下
肝臓ではコレステロールが産生されるため、肝臓が悪くなると総コレステロールの値が下がります。
総コステロールというのは、善玉コレステロールと悪玉コレステロールを合わせたものを言います。
筋肉量の減少
肝臓は、グリコーゲン(多くのブドウ糖が結合した物質)を分解することでエネルギーを作り出しています。
しかし、肝臓が悪くなると、エネルギーを産生できなくなるため、かわりに筋肉を分解することでエネルギーを作り出すようになります。
この結果、筋肉が減少していきます。
筋肉が減少してくると体重の減少につながります。
黄疸
黄疸というのは皮膚や粘膜が黄色くなってくる状態をいいます。
目も黄色っぽくなります。
この症状には、ビリルビンという物質が関わっています。
ビリルビンというのは、黄色の色素で赤血球が分解されたときにできる物質です。
肝臓で分解され、胆汁の中に排出されます。
肝臓が悪くなると、ビリルビンが肝臓で分解できなくなるため、血中のビリルビン値が上昇します。
この結果、黄疸が見られます。
かゆみ
上記の黄疸の原因であるビリルビン値が上昇によって、かゆみを引き起こすこともあります。
肝性脳症
たんぱく質を摂ると、腸内細菌によってアンモニアに分解され、肝臓でアンモニアは尿素に代謝されます。
肝臓が悪くなると、アンモニアを尿素に代謝することができなくなり、体内のアンモニアの量が多くなります。
アンモニアが多くなると、脳に流れ、肝性脳症を引き起こし、昏睡状態に陥ることもあります。
以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。