A型肝炎ウイルスの感染経路・検査・潜伏期間・症状・治療・予防【薬剤師が説明】

衛生状態の悪い国に行くときは、A型肝炎の感染に注意!

この記事では、A型肝炎ウイルスについてわかりやすく説明します。
感染経路・検査・潜伏期間・症状・治療・予防のことも書いたので参考にしてください。

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はじめに


肝炎を起こす一つの原因として、肝炎ウイルスがあります。

肝細胞が肝炎ウイルスに感染すると、自己の免疫力によって、そのウイルスを排除しようとします。
この免疫反応の結果、肝炎が引き起こされます。

肝炎を起こすウイルスには、

  • A型肝炎ウイルス
  • B型肝炎ウイルス
  • C型肝炎ウイルス
  • D型肝炎ウイルス
  • E型肝炎ウイルス

があります。

日本人の肝臓病で多いのは、これらのウイルス性肝炎です。
特に多いのがB型肝炎、C型肝炎です。

マイナーな肝炎ウイルスには、TTウイルスやG型肝炎ウイルスというものも存在します。

この記事ではA型肝炎ウイルスについて簡単にわかりやすく説明します。

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A型肝炎ウイルス


A型肝炎ウイルスは英語でHepatitis A Virusと書いて、略すとHAVです。
hepatitisは肝炎、virusはウイルスを意味します。

A型肝炎ウイルスは、エンベロープ(ウイルスを囲む膜)を持たないRNAウイルスと呼ばれるウイルスに属します。
熱処理や紫外線の照射によって失活します。

感染経路


経口感染です。
A型肝炎患者の糞便に汚染された生魚、貝(カキなど)、果物などの食べ物や生水、牛乳などの飲み物を摂取することで感染します。

A型肝炎に感染した初期は便にウイルスがいるので、便に飲食物が汚染されてしまうのです。
衛生状態の悪い東南アジア、アフリカ、インドで起きやすく、衛生状態の良好な日本ではほとんど起きません。

しかし、旅行先で感染するパターンがあります。

体に触れたり性行為によってうつることはありません。

ウイルスに感染しながら症状が出ず、ウイルスも体外に排出されないため、長期間ウイルスを保持しつつ、他人にうつしてしまう肝炎ウイルスがあります。

このような症状が出ずにウイルスを保持している人を無症候性キャリアといいます。
A型肝炎ウイルスに関しては自然治癒するため無症候性キャリアのおそれはありません。

検査


A型肝炎ウイルスに感染しているかは血液検査で、A型肝炎ウイルスの抗体が血中に存在するかを調べます。

この抗体はHA(hepatitis A)抗体といいます。
HA抗体にはIgM型とIgG型の種類が存在します。

IgM型

IgM型は感染後すぐにできる抗体で症状が改善するとなくなります。
IgM型の抗体が陽性だと、今現在A型肝炎ウイルスに感染し、急性肝炎を起こしていることを示すため、治療が必要です。

IgM型抗体のように感染を示す抗体を感染抗体と呼びます。

IgG型

IgG型は感染後しばらくして産生される抗体で終生存在する抗体です。
IgG型が陽性だと過去にA型肝炎ウイルスに感染していたことを意味します。

IgG型抗体は、中和抗体(抗原の働きを失活させる抗体)と呼ばれ、もう二度とA型肝炎に感染することはありません。

抗体を調べる方法以外に、PCR法という方法を使ってA型肝炎ウイルスの遺伝子を増殖させて検査を行う方法もあります。
こちらの方が迅速な診断をすることができます。

潜伏期間


4週間前後です。

症状


どの年齢でも感染します。
感染したら約8割の人に急性肝炎が起きます。
(2割は不顕性(ふけんせい)感染と言って症状がでない)

最初は、発熱、全身倦怠感、咳、鼻水、筋肉痛、関節痛、頭痛などの症状がでます。
そのため風邪かなと思う程度でしょう。

これらの症状は1,2週間すると治るのですが、代わりに黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)がでてきて、尿が褐色になったり白い便がでたりします。

黄疸が起きるとかゆみも出てきます。

吐き気も出てきて食欲不振になることもありますが、慢性肝炎(6カ月以上肝臓の炎症が続くこと)にはなりません。
肝がんに移行する恐れもありません。

【黄疸が起きる理由】
肝炎が起きることで肝臓の機能が低下します。
肝臓はビリルビンという物質を分解する働きがあります。
ビリルビンというのは、黄色い色素のため、肝臓の機能の低下によりこのビリルビンの処理ができなくなってくると、血中に流れ出て皮膚や白目に黄疸が出てきます。

予後は良好で、A型肝炎ウイルスの中和抗体ができてくると、症状は治まり1、2ヶ月ほどで自然治癒します。

ただし、ごくまれに急性肝炎を起こした人の中で劇症肝炎(1%以下)になることがあります。
劇症肝炎とは肝炎が非常に悪化した状態であり、死亡率は1割ほどになります。

他にはまれですが腎不全になるときもあります。

一般的に子供なら症状が軽くすみ、高齢になると重症になりやすいです。
すでに説明したとおり、一生に二度かかることはありません。

治療


症状が軽ければ自宅療養ですが、基本的には入院して安静にします。
急性肝炎は肝臓への血流量が減少します。

これを解消するためにベッドで横になっていることが重要です。
横になることで肝臓への血流量が増え栄養を送り肝臓を元気にさせます。

食欲不振で食事がのどを通らない場合は、点滴で栄養補給します。

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予防

旅行先では

日本でA型肝炎ウイルスに感染することはほぼありません。
注意が必要なのは、衛生状態の悪い国に旅行に行くときです。

まず、熱処理すればウイルスは死滅するので生のものを口にしないようにしましょう。
生水で洗った生野菜を食べるのも危険です。

生水を煮沸せずに凍らした氷で感染することもあるので氷入りの飲み物も注意が必要です。
調理に使用する包丁やまな板にも注意が必要なのですが、ここまでは把握できないので外食のときは、生のものは食べないのが賢明です。

指についたウイルスが口に入らないようにするためにも、こまめにせっけんで手を洗いましょう。

ワクチンと免疫グロブリン

衛生状態の悪い国に長期滞在する場合は、あらかじめワクチン接種をするとよいでしょう。
日本で承認されているワクチンはエイムゲンです。

このワクチンは2週間から4週間間隔をあけて2回接種して、その後、1回目の接種から24週後に3回目を接種します。

これで5年以上の予防効果があります。
日本で承認されているワクチンは3回の接種が必要ですが、日本で未承認のワクチン(Havrixなど)を輸入で仕入れている病院があります。

これなら1回の接種でもいいのですが、未承認のため副反応が出た場合、国の救済制度を受けることができず自己責任となってしまいます。

ワクチン接種をする時間がない場合は免疫グロブリンを投与することがあります。
ワクチンは病原体を体内に入れて抗体を自分で作らせますが、免疫グロブリンは抗体自体を体内に入れます。

これなら4,5日後に効果が出てきます。
感染直後に免疫グロブリンを投与しても発症を予防できるとも言われています。

以上になります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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